高橋俊明

2006年4月13日

財団法人 三友堂病院医学雑誌 Vol.5 No.1

症例報告

片麻痺・視力障害を有する糖尿病患者のインスリン自己注射実現へ向けた援助の1例-視力障害者用インスリン単位合わせ補助器具(トマレット®)を用いて-
Training program for self-injection of insulin specially designed for a disabled diabetes mellitus patient by hemiparesis and visual disturbance.-Case report-

三友堂リハビリセンター薬局 高橋俊明

Key word:糖尿病、高齢者、合併症、インスリン、自己注射

要約

 70歳女性。28年前脳内出血を来たし、以後左片麻痺を後遺している。平成5年糖尿病と診断され治療を受けていたが、平成15年1月頃より血糖コントロール不良となり、同年5月インスリン導入目的にて入院となった。当初右足趾でのペン型インスリン注入器操作を試みたものの、操作中の注射器落下や視力障害によるインスリン単位認定困難により足趾による操作は断念せざるを得なかった。そこで、視力障害者用インスリン単位合わせ補助器具トマレットRと、これに対応するディスポーザブル型インスリン注入器イノレットRを用い、さらに右手のみで注射器を操作する為に発砲スチロール製の補助台を作製し、患者自身が端座位で大腿内側部にて補助台を挟み込み、この上でインスリン自己注射手技を行うこととした。この結果、約3週間後には、インスリン自己注射手技が完遂可能となった。退院後もインスリン自己注射により良好な血糖コントロールが維持できている。
 本例では、清潔で安定した状態でのインスリン自己注射の実現が不安の軽減につながり、退院後在宅での自立の一助となったと考えられた。

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原稿・資料提供 (財)三友堂病院医学雑誌編集委員会