黒田 美智子 他

財団法人三友堂病院医学雑誌 Vol.12 No.1

原著

                地域緩和ケアネットワークの構築に向けた取り組み
        Several attempts for the construction of the regional network of palliative care

黒田 美智子1)、川村 博司2)、横山 英一2)、木口 久美子1)、渡部 芳紀1)
青木 砂織3)、加藤 佳子2)

1) 三友堂病院 地域緩和ケアサポートセンター 看護部
2) 三友堂病院 地域緩和ケアサポートセンター 診療部
3) 三友堂病院 地域緩和ケアサポートセンター 地域医療部

Key words:地域連携、在宅緩和ケア、地域緩和ケア支援、緩和ケアネットワーク、
     緩和ケア病棟

Michiko Kuroda1), Hiroshi Kawamura2), Eiichi Yokoyama2), Kumiko Kiguchi1),
Yoshinori Watanabe1), Saori Aoki3), Yoshiko Kato2)

1) Nurshing department, Sanyudo regional palliative care support center
2) Medical department, Sanyudo regional palliative care support center
3) Hospital coordination and consultation department, Sanyudo regional palliative care support   center

要約


 山形県置賜地域おいては、在宅緩和ケアの充実と在宅での看取りの実現という目標に向けて、地域連携の構築が最も重要な課題であると考える。
 当院は、平成17年に緩和ケア病棟を開設して以来、「症状緩和」、「レスパイト・ケア」、「看取り」という緩和ケア病棟の3つの役割の中でも特に、「症状緩和」を速やかに達成し、できるだけ早期の在宅移行を実現することを最大の目標としてきた。看取りもまた、本人や家族が望めば、自宅で行うべきものと考えてきた。平成20年、当院は、地域に緩和ケア提供体制を確立することを目的に、地域の医療・介護・福祉関係者に対して、施設緩和ケアの充実と在宅緩和ケアの推進、そして地域緩和ケアネットワークの構築を提唱し、在宅緩和ケア推進に向けて活動を展開したきた。
 地域おいて在宅移行や在宅での看取りが困難となる様々な要因に対応する拠点として、当院は、平成21年4月より、緩和ケア外来、緩和ケア病棟、地域緩和ケア支援室で構成される地域緩和ケアサポートセンターを開設した。患者・家族、在宅で携わる医療・介護・福祉関係者、そして地域住民に対して、緩和ケアや在宅療養の重要性についての理解を深めるため、勉強会や研修会、市民公開講座の開催や、施設あるいは地域の各地区への緩和ケア出張講座などに取り組み、また、地域の診療所、訪問看護ステーション、介護施設に対する支援を開始した。その結果、平成21年度には地域緩和ケアサポートセンターへの他医療機関からの紹介患者が増加し、緩和ケア病棟入棟患者総数は102名となり、前年に比較して25%増加した。症状緩和目的で入棟した患者の65%が在宅療養へ移行し、平均12日という短期間での在宅移行が実現可能となった。
 今後、在宅緩和ケアのネットワーク構築をさらに推進していくために、1.患者と患者に関わる全ての人々が緩和ケアについて共通の理解をもつこと 2.緩和ケア病棟、緩和ケアチーム、在宅支援に携わる人々などの緩和ケアの担い手が互いの役割を知って、それを尊重し、互いに支え合うこと 3.医療・ケアを病院と在宅で継続してできるように、知識、技術の向上のために研鑽を積むことが重要であり、これらについて地域に対する啓発活動を強化していくことが必要であると考えられた。

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